医師の疲弊

raica-oliveira11

「みんな疲れている」

24時間体制で小さな命を見守るNICU(新生児集中治療室)の小児科医。医師不足による疲弊は深刻だ(高知医療センター)
「患者には『24時間診てくれ』と言われるが、うちは2人しかいない」
「うちは当直明けの医師が交通事故を起こした」「このままでは共倒れになる」―。

マイクを取り合うように医師が訴える。約2時間、それが延々と続いた。

2月20日、高知市内で開かれた小児救急医療体制検討会。高知医療センターのほか高知大医学部付属病院、国立病院機構高知病院、高知赤十字病院、JA高知病院の小児科医が顔をそろえた。

5病院は持ち回りで休日・夜間の小児救急に対応する「輪番病院」。高知市医師会が運営する平日夜間小児急患センターが閉まる午後11時以降の小児救急をカバーしている。

コンビニ化

その輪番病院が、最近は深夜も営業しているコンビニのようになっているという。
「全体の小児患者は増えていないのに、夜間の患者は増えている。しかも急を要する患者は少ない」

検討会に参加していた高知大の脇口宏教授(小児思春期医学講座)は、救急医療の「コンビニ化」による輪番制の崩壊を危ぶむ。

「子どもが夜中に熱を出すと慌てる。誰にも相談できない。小児科の専門医に診てもらいたい」「昼間、病院に連れて行きたいが、1日も仕事は休めない」

背景には核家族、共働き家庭の切実な声がある。だが、輪番病院の当直医は5年前の25人から17年度は22人に減り、18年度にはさらに20人へと減る。

小児科の医師不足は全国的に深刻化している。国は少子化対策からも、この4月から小児科で増え続ける時間外受診の診療報酬を手厚くする。小児の入院報酬も引き上げるが、小児科を目指す医師の「卵」を増やす策としては不十分とする声が多い。

月6回の徹夜

午前2時、高知医療センター四階のNICU(新生児集中治療室)―。1000グラム未満の小さな赤ちゃんが眠る保育器の側で、当直の小児科医がモニターに映し出される体温や血圧の変化に目を配る。

赤ちゃんの容体を確認してひと息つこうとすると、救命救急センターから呼び出しの電話が。「熱を出した子どもを母親が連れてきて…」

救急外来の診察を済ませ、急いで戻る。保育器の赤ちゃんの穏やかな寝顔を見て、ようやく横になる。すると、また呼び出しの電話が鳴る。この日は、NICUと救急の往復で夜が明けた。

医療センターでは8人の小児科医が毎日、交代でNICUの当直を務め、週に平均3回の輪番病院としての当直もこなす。

輪番日以外の夜間でも患者は来る。平均して2時間に1人。風邪などの軽症だからといって門前払いはできない。「1人が月に5、6回徹夜で仕事をするのは当たり前」になっている。

出産前後の母子に対する周産期医療の拠点、と位置付けられる医療センターのNICU六床は開院以来、常に満床の状態で推移。目の離せない赤ちゃんが多く、それだけ医師の負担も大きい。

「小児科医は医師になった時からそういった当直をしているから慣れている」
吉川清志・総合周産期母子医療センター長はそう言いつつ、「みんな疲れている。医者を増やさないと…」。

他県には、激務が小児科の勤務医を自殺に追いやった事例もある。小児医療の立て直しが叫ばれる中で、本県の小児医療の拠点からも危険信号が発せられている。

手術できなくなる日

モニターに映し出される心拍数や血圧などに目を凝らす麻酔科医。麻酔だけが仕事ではない(高知医療センター)  「あそこ(高知医療センター)で手術は受けない方がいい」―。そんなうわさ話が市中でささやかれている。


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医師不足による疲弊は深刻だ(高知医療センター)
http://www.kochinews.co.jp/rensai05/05tougou38.htm Link

― posted by 大岩稔幸 at 03:09 pm commentComment [1]

この記事に対するコメント[1件]

1. げき Website — October 23, 2006 @21:20:32

大岩先生、コメントありがとうございました。
核のごみをはねかえす運動を力強くまきおこしたい気持ちでいっぱいです。
どうぞ、お力をお貸しくださいますよう、お願いいたします。

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