死と眠りの神

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 ギリシャ神話にはヒュプノスという眠りの神が登場します。穏やかで心優しい有翼の美青年で,夜が訪れると地底の宮殿を出て人々に安らかな眠りを与えます。

 宮殿には3人兄弟の夢の神がいて,父ヒュプノスが眠らせた人の心のなかにさまざまな夢を生みだします。年長のモルペウスはあらゆる人間の姿に変身して夢に現われ,神のお告げを伝えます。薬物モルヒネの名前は,このモルペウスにちなんでつけられました。

 2番目のポベトールは動物の姿をして現れます。かわいい小動物で登場してくれればありがたいのですがその逆で,しかも悪夢の神なのです。ここから「恐怖症(フォビア)」という言葉が生まれました。

 3番目のパンタソスは物体の形で夢に登場します。姿形が奇怪であるばかりでなく.非現実的な夢を生みだします。ここから「幻想的な(ファンタジー)という言葉が生まれました。

 眠りの神ヒュプノスにはタナトスという兄がいてこちらは死の神です。ともに地底の宮殿に住んでいますが,性格は全く違って兄は鉄の心臓と青銅の心をもち「その時」が来ると容赦なく魂を奪い去ります。

 画像はこの兄弟神がトロイ戦争の英雄サルペードーンの亡骸を戦場から祖国リュキアヘ運ぼうとしているところです。死者の肩を支えているのが兄タナトス,足を支えているのが弟のヒュプノスといわれています。

 臨終に眠りの神が寄り添うのは,死に逝く者に永遠の眠りを授けるという大事な役目があったからです。

― posted by 大岩稔幸 at 11:20 pm

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