最近はデザインの学校が各地にあるし、デザインのコンクールも多い。卒業制作などを見るとアカぬけたすばらしい作品が眼につく。
たしかに美しいパンフレットも多くなった。デパートのショーウインドウもイキなものがある。しかし、TVのバラエティショーはどうなのか、やたらにケバケバしい。原色があふれて、さらに電飾がピカピカ、チカチカするものもあり、人物が埋没していることが多い。装飾過剰で、見苦しい。
わりあいとスッキリしていたNHKも、おかたいイメージから抜けたいという気分は解らないでもないが、朝番組でもゴテゴテしたものが多くなり、お花見の時の立看板みたいなのがでてくるのはどうも気に入らない。
もっとも、これが今風で、ぼくの感覚の方がおくれているのかもしれない。いつのまにか古いタイプのアナログ人種になってしまったので、自信はない。
なんだか、大安売り、テンコ盛りというけたたましい風情で、週刊漫画誌の表紙もゴチャゴチャしている。オモチャ箱をひっくりかえしたように乱雑。
歌番組の若い歌手の歌っている歌詞の意味がよく解らない。チンプンカンプンである。
年末のNHKの紅白歌合戦も装飾がきらびやかすぎるし、ほとんどダンサーのバックダンスの方が歌より印象が強い。歌合戦ではなくてあれではショー合戦である。歌手の衣装もあっとおどろくド派手なものがあり、悲恋に泣く女の情感をしんみりと歌っても、まったくチグハグで、こんなことでいいのかなと思って感情移入できない。
今はシャンソンはすっかり下火になってしまったが、昔の日本人はシャンソンが大好きだった。ジュリエット・グレコは黒一色の衣装、カーテンも黒くて、さらにスポットをしぼって歌った。イヴ・モンタンのステージもシンプルで、歌は心にしみた。
またTVのことになるが、司会者はTVの前にいる視聴者に話しかけるべきだと思うのに、人数だけやたらに多い出演者に話しかけて自分たちだけで笑ったり楽しんだりしていることが多い。おいおい、それはちがうだろう。それでギャラもらっているというのはまちがいではないか。と思うが「なに言ってるんだ。あんたは時代おくれ」と言われそうだ。
2010.10.16 高知新聞夕刊
オイドル絵っせい
やなせたかし
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