福島第一原発について

「エネルギー基本計画」の問題点
http://homepage3.nifty.com/ksueda/waste0307.html Link 福島原発震災 チェルノブイリの教訓(5)
「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか
http://diamond.jp/articles/-/12075 Link

 原発はたしかに炭酸ガスを排出しないが、放射性物質を出し、核廃棄物の最 終処分をどうするか、まったく見通しが立っていない。大事故が起こればチェ ルノブイリ事故のように国境を越えて被害を与える。常識をもって考察すれば、 クリーンだとはとうてい思えないのだが、いつのまにかクリーンエネルギーに なっていた。
 史上最悪の環境破壊はチェルノブイリ原発事故である。25年後の現在も半径 30キロ圏内は立ち入り禁止だ。どうして「地球に優しいクリーンエネルギーの 主役」に化けたのだろう。これは原子力産業と推進国政府によるPR作戦の勝 利だった。
「クリーンエネルギー」の言説をさかのぼっていくと、「炭酸ガスを排出しな いからクリーンだ」という根拠に行き着く。地球温暖化防止の国際会議のたび に「クリーンエネルギー原子力」のPRが増えた。
 このPRの中では、核廃棄物問題はまったく出てこない。「原子力は安全ならばクリーンだ」というわけだ。当たり前である。「問題を考えなければ問題 はない」と言っているだけだった。 クリーンエネルギーという言葉は、エイモリー・ロビンズ(★注)の名著『ソ フト・エネルギー・パス』(1977)で初めて登場する。スリーマイル原発事故 (1979年)の直前、チェルノブイリ事故の10年前である。
 ロビンズは再生可能な自然エネルギーをソフトエネルギーとして、原子力や 石油、石炭火力に対してクリーンエネルギーだとした。ロビンズによるクリー ンエネルギーの定義は、生態系に適応する自然エネルギーのことである。もちろん原子力は入っていない。
 チェルノブイリ事故は世界に衝撃を与えたが、わずか3年後の1989年、原発先進国のフランスが、炭酸ガスを排出しない原子力というコンセプトを打ち出 す。前年の1988年、米国NASAのジェームズ・ハンセンが上院公聴会で「地球は温暖化しており、原因は炭酸ガスにある」として世界的な反響を呼ぶ。地球温暖化=炭酸ガス=炭酸ガスを出さない原子力=クリーンエネルギーという 図式が登場したのである。
 当時フランスではミッテラン大統領自ら原子力は炭酸ガスを出さないクリーンエネルギーだと主張し始めている。日本でも1988年版「原子力白書」(原子力委員会)で、原発は温暖化への抑止になる、と初めて記述している。
 この時点から原子力村(産官学の利益集団)は積極的に「炭酸ガスを出さないエネルギーは原子力」をPRするようになった。つまり、国民の頭に「クリー ンエネルギー」を刷り込みはじめたのである。
 この議論は世界で急速に普及し、地球温暖化防止の重要な役割が原発にある、 と多くの人々が思うようになった。喉もと過ぎればなんとやらである。チェル ノブイリのわずか2年後のことだ。
 原子力推進の総本山IAEA(国際原子力機関)のハンス・ブリックス事務局長 (★注)の面白い発言が当時の新聞に掲載されているので紹介しよう。 「『大気汚染問題がこんなにホットになって、驚いている』――国際原子力機 関(IAEA)のH・ブリックス事務局長は、複雑な思いを味わっている。つい最 近までソ連のチェルノブイリ原発事故の後遺症で世論の冷たい風にさらされて いたのが、一躍大気を汚さないクリーンエネルギーとして原子力に関心が集まったからだ。」(「日本経済新聞」1989年7月21日付) 原子力の平和利用推進と監査機関であるIAEAのトップも驚くほど、急速に原子力はクリーンだという言説が広がっていた。ハンス・ブリックス自身は眉にツバをつけて聞いていたわけである。あまりにも面白く、20年以上経っても忘れられない記事となった。
 1990年2月、通産省(現在の経産省)は1990年から2000年までの10年間を「省 エネルギー推進期間」、2000年から2010年までの10年間を「クリーンエネルギー 推進期間」とする「地球再生計画」を発表した。クリーンエネルギー推進のための方策が原子力推進である。  1990年5月、環境庁(現在の環境省)は「環境白書」を発表し、この中で「環 境への負荷の少ないエネルギー源としては、適切な範囲内での天然ガスの導入、 また安全性の確保を前提として国際的にも原子力の重要性が認識されている」 としている。
 大事故から4年、1990年に日本では完全に「チェルノブイリの教訓」は消滅 したのである。  はたして福島原発事故で「クリーンエネルギー原子力」の呪縛は解けるのだ ろうか。菅首相の「本来のクリーンエネルギー推進」のビジョンは徹底される のだろうか。
 少なくとも、わずか4年で消滅した「チェルノブイリの教訓」とは異なり、 「福島の教訓」は4年では消えそうもない。4年後、溶融した燃料棒の一部でも 搬出できているかどうか、まったくわからないのである。 ★注エイモリー・ロビンズ(1947−)は米国ロッキーマウンテン研究所所長、 物理学者。ハーバード大学を経てオックスフォード大学へ。のちに米国で物理 学者、エネルギー学者として「ソフトエネルギー」の推進を訴えている。
★注ハンス・ブリックス(1928−)はスウェーデンの政治家。同国外務大臣を 経て、1981年から1997年まで国際原子力機関事務局長をつとめた。

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― posted by 大岩稔幸 at 09:52 pm

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