正月飾り

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http://item.rakuten.co.jp/iwabun/shin-kokoro/

 正月飾りを付けた車をとんと見なくなった。車に対する意識が変わったのか、それとも景気の悪さがそうさせるのか。恐らく、その両方だろう。

 車が庶民の家庭にまで普及し始めたころ、新しい車を買うと「新車下ろし」と称して、宴席を設けた。お酒を飲む口実でもあったが、そうやって、新車を買ったうれしさを、仲間たちと分け合ったのだ。

 車には夢がいっぱいあった。「いつかは○○」というテレビCMがそのあたりの事情を語っていようか。今は小さな車だが、そのうち、もっと大きな車を、という夢が持ち得た時代であった。

 バブルがはじけて正月飾りは激減、その後も回復することなく、過去の風俗になりつつある。車はありふれた移動用の道具となり、地球温暖化も絡んで、かつてのような夢が持ちにくいことになった。

 金融危機に端を発した不況で、経営危機に陥っている米国自動車メーカーの最大の失敗は、車を取り巻くそんな環境の変化を見誤り、いつまでも大きく豪華な車を造り続けてきたことにあるのだろう。

 GM社がこの危機に際してすがったブランドが、キャデラックやシボレーといった「昔の名前」であることに、それは象徴されている。日本メーカーのような低公害車が、そこにはない。

 公的資金の投入で年は越したが、米国の自動車業界が世界経済の時限爆弾であることに変わりはなさそうだ。爆発せぬことを祈るばかり。

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― posted by 大岩稔幸 at 11:35 pm

夜空を眺める

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 ことしは国連などが定めた「世界天文年」。国内では1月4日群馬県で開かれたオープニングセレモニーを皮切りに、さまざまな催しが企画されている。

 ガリレオ・ガリレイが手製の望遠鏡で天体観測を始めてから400年になるのを記念する行事だ。その前年にオランダ人が発明したといううわさを頼りに、苦労して組み立てた望遠鏡の倍率は14倍。いまならおもちゃ屋で売られている程度のものという。

 それでも人類初の天体望遠鏡で得られた成果は大きかった。でこぼこした月の表面や木星の4つの衛星、無数の星の集まりである天の川、そして太陽の黒点…。急いでまとめた「星界の報告」にも、ガリレオの興奮が満ち満ちている。

 ガリレオが切り開いた新たな世界は、望遠鏡の発達とともにどんどん広がってきた。さらにロケット技術の発達による宇宙の解明も加わった。ことしは人類が最初に月面に降り立ってから40年の節目でもある。

 まだまだ未知の部分が多く残る宇宙とはいえ、科学の発達によって伝説や神話に彩られた世界は打ち砕かれてしまったかのようにみえる。これを「知恵の悲しみ」と呼ぶそうだが、夜空にきらめく無数の星はやはり私たちをロマンの世界へ導いてくれる。

 江戸中期の句集に「星の名を覚えて空も伽(とぎ)になり」という句が出ている。一年中で最も星の観察に適したこの季節、家族で夜空を見上げるのも悪くはない。





小社会
2009年01月04日08時08分

― posted by 大岩稔幸 at 07:03 am

謹賀新年

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 高村光太郎に「牛はのろのろと歩く」と始まる詩がある。題はずばり「牛」。新しい年の?干支(えと)にちなんで読み返してみた。

 牛歩は歩みがのろいことの例えだが、詩人によればただの「のろさ」ではない。「がちり、がちりと/牛は砂を掘り土を掘り石をはねとばして歩く。〈がちり、がちりと自然につつ込み喰(く)ひ込んで自分の道を自分で行く。」

 力強くて着実な歩みだ。しかし詩人は、牛の本質をそれだけとは見ない。利口でやさしい眼(め)〉を持ち、厳粛な二本の角、正直な涎(よだれ)〉も持っていると書く。優しさや正直さは、万事がスピード優先の現代社会で、軽んじられてきたものではなかったか。

 若者に「牛になりなさい」と勧めたのは夏目漱石。晩年、芥川龍之介と久米正雄への有名な手紙にある。人は「とかく馬になりたがるが、牛にはなかなかなり切れない」「牛は超然として押して行くのです」と。光太郎の牛とイメージが重なる。

 金融、雇用、医療…さまざまな「危機」が越年した。まだ濃い霧が立ちこめている。迷える牛たちは、どこを目指せばいいのか。漱石は牛が何を押すのかについて「人間を押すのです。文士を押すのではありません」と説いている。

 目先の利益だけを追い求める米国流のやり方は、破綻した。これからは雇用や環境問題など「人間」を中心に据えた仕組みづくりだ。その道を「がちり、がちり」と前へ押したい。



小社会
2009年01月01日10時09分

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― posted by 大岩稔幸 at 07:00 pm

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