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介護難民

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◇第3部 療養不安
 介護の現場の一部で、「老健わたり」と呼ばれる高齢者がいる。自宅で暮らすのは難しく、特別養護老人ホーム(特養)にも入れない。仕方なく介護老人 保健施設(老健)を渡り歩く人たちだ。
 東京23区内に住む女性(91)は2008年に背中を痛め、歩けなくなった。それから3カ所の老健を転々としてきた。

 ふりだしは病院の紹介で入った埼玉県の老健だった。「特養とちがい、終身 いられる施設ではありません。医師が3カ月ごとに退所の判断をします」。入る前にそう言われた。
 車いすから立つ訓練などを受け、半年たったときに退所を求められた。だが、 自宅には戻れなかった。

 当時の要介護度は2番目に高い「4」。すでに夫を亡くし、息子夫婦と同居 していたが、昼間は2人とも仕事があり頼れなかった。
 特養はどこも多くの高齢者が入居待ちの状態だった。息子の妻が23区内の 老健を探し回り、ようやく顔なじみの職員がいる老健に入れた。そこも1年半 で出され、紹介を受けていまの老健に
移った。

 それから約4年半たつ。この老健の相談員によると、足の炎症で入院したり 食道のヘルニアになったりして、「出すに出せなかった」という。
 だが、ずっといられるわけではない。「様子をみて、今年半ばには移ってもらうことになると思う」と相談員はいう。

 老健は介護を受けることもできるし、医師や看護師がいてリハビリも受けら れる。自分で払う費用は特養より少し高いが、有料老人ホームより安くすむ。 ただ、けがや病気などを療養して
回復させる のが目的なので、本来は長く入り 続けることができない。
 しかし、自宅に帰れず、特養も入れずに老健に長くいる人は少なくない。

 ■100歳、入退所3回
 東京23区内のある老健では、100歳の男性が13年夏に入ってから、これまでに入退所を3回繰り返している。近くに住む70代の娘の家で1〜2カ 月過ごし、
また戻ってくる。

 「こちらからお願いしていったん出てもらう」と職員は明かす。その理由は、 介護保険から払われる報酬の仕組みにある。

 政府は12年度に介護報酬を改定し、自宅に帰る人を増やしたり、新しい高 齢者を多く受け入れたりした老健ほど報酬を加算するようにした。

 厚生労働省は、施設が足りなかったり介護報酬がふくらんだりしているので、 在宅介護を増やそうとしている。老健にいる高齢者も帰そうと促す。

 しかし、100歳の男性が70代の娘の家に帰っても、介護は容易ではない。 職員は現実と政策のギャップに悩みながら、出戻りの男性を受け入れている。

 1月上旬、秋田県中部のまちは家々の屋根に雪が積もり、正月の松飾りを片 づける人たちの姿があった。  このまちの老健にタノさん(92)は5年ほど入っている。
系列の病院に入院したこともあるが、退院するとすぐに戻った。

 ■平均年齢は83歳
 この老健も半年で出ていくのは3人に1人しかいない。入所者の平均年齢は 83歳。タノさんのように病院と老健を行ったり来たりする人も多いという。

 タノさんは19年前に夫に先立たれ、ずっとひとり暮らしだった。5年前に ベッドから落ちて動けなくなり、車いすの生活に。ひとり暮らしは難しく、「要介護3」の認定を受けて老健に入った。
 2年ほどたったとき、60代の娘は老健の相談員から「そろそろ出て頂いて もいいですか」と打診された。

 調理のパートをする娘は月に数万円の手取り収入しかなく、自分の生活で手 いっぱいだ。老健にはタノさんの年金から月に6万円の入所費を払ってきた。

 娘は特養を探したが、どこも100人以上の入居待ち。有料老人ホームは月 に十数万円かかり、とても入れることはできない。

 自宅に引き取ることも考えた。だが、働きながらタノさんを世話するのは大 変で、老健の看護師からも「引き取れば、あなたが壊れる」と言われた。

 老健の理解を得ながら、その後も母を預けてきたが、いつ出ることになるか わからず、不安が募る。

 「もともと一人で暮らせなくなり入った人が多い。リハビリしても高齢なのでもとの体に戻ることはない。そのまま自宅へは帰せない」。中部地方にある 老健の施設長はそう語る。

 この老健では入所者の平均年齢が00年ごろは80歳ほどだったが、いまは 86歳になった。半年で出る人は2割に満たず、平均の入所日数は約2年3カ 月になる。

 イノさん(94)は89歳のときに入ってから、5年がたつ。両足が悪く、 車いすでの生活だ。「足がはれて痛くて動かないの。息子の嫁も入院したりし て、家に帰っても不自由で動けない。
できれば、ここにずっといさせてほしい」

 施設長は「帰れるのは、介護する人がいたり経済的にゆとりがあったりという条件がそろった人たちが多い。逆に、老健から出た後の環境が整っていない
高齢者も 多い」と指摘する。

 ■「在宅復帰」促す厚労省
 厚生労働省は来年度の介護報酬改定でも、高齢者の「在宅復帰」の割合が高い老健にはより高い介護報酬を払うようにする方針だ。老健には自宅で療養できるような支援も求めていくという。
 老健でつくる全国老人保健施設協会の東憲太郎会長も「いま入所している高 齢者を追い出そうとしているわけではない。ベッドを少しでも空けて、在宅療養する人がショートステイなどで利用する
ニーズにもっと応える努力をしなければならない」と話す。

 厚労省は施設への介護報酬がふくらむのを抑えるため、在宅での介護を重視 している。老健からの退所を促すのもその一環だ。  しかし、老健のなかにも「在宅復帰は幻想だ」という声がある。
老健を出て も行き先が整っていないという現実があるからだ。

 特養は都市部を中心に施設や職員が足りず、入居待ちの高齢者が多い。有料 老人ホームに入ろうにも月に十数万円以上かかる。  ひとり暮らしだったり家族の負担が重くなったりして、自宅に
戻れない人も 多い。実際に、老健から自宅へ帰る高齢者は約3割にとどまっている。

 厚労省は退所の難しい高齢者本人と家族に老健の次の行き先の希望を尋ね、 昨年10月に結果をまとめた。

 通常の老健では、本人は「意思表示が困難・希望なし」が37・6%、 「こ のまま老健」が23・6%、「自宅」が22・5%、「特養」が5・6%だった。
家族は「このまま老健」が50・9%、「特養」が33・4%で、「自宅」 は4・3%しかいなかった。
(松田史朗、本田靖明)

 ◆キーワード
 <「特養」と「老健」>
 特別養護老人ホーム(特養)は自宅での生活が難しい高齢者が入り、介護を受ける。終(つい)のすみかにする人も多い。社会福祉法人の運営が多く、全国に約8千施設(13年度)ある。ただ、
高齢化に 追いつかず、入居を待つ人が約52万人いる。

 介護老人保健施設(老健)の制度は1986年にできた。無料で入れる老人 病院に高齢者が入院し続ける「社会的入院」が問題になり、これを減らすため につくられた。医療法人の運営が多く、
全国に約4千施設ある。国の基準では 在宅への復帰を目指すと定められている。

 特養は医師の常勤を義務づけられていないが、老健はベッド数100床につき医師1人、看護職員9人を配置しなければならない。平均の入所日数は特養 の約4年に対し、
老健は約1年になっている。

 ■介護老人保健施設と特別養護老人ホーム

 <全国の施設数>
   介護老人保健施設  3993カ所
   特別養護老人ホーム 7982カ所

 <ベッド数>
  介護老人保健施設  約35万床
  特別養護老人ホーム 約52万床

 <月間の平均費用(自己負担)>
  介護老人保健施設  約7万8千円
  特別養護老人ホーム 約6万2千円

 <入所している平均日数>  
  介護老人保健施設   313日(1年弱)
  特別養護老人ホーム 1405日(約4年)

 <100床あたりの職員らの配置基準>
 介護老人保健施設  医師1人、看護職員9人、介護職員25人
 特別養護老人ホーム 看護職員3人、介護職員31人

 (施設数、ベッド数は2013年度、平均費用と入所している日数は13年。 厚生労働省の調査などから)


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天王診療所・壽幸園 平成26年12月忘年会






(報われぬ国 負担増の先に)介護老人保健施設 仕方なく「老健わたり」朝日新聞 2015年1月19日(月) 配信

― posted by 大岩稔幸 at 10:39 pm

軽症うつ病

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外来治療可能な内因性うつ病
 抑うつ等の症状が、軽度あるいは顕著ではないことが特徴である「軽症うつ病」が、しばらく前から増加しているとされている。

 軽症うつ病の象徴的なエピソードとしては、意欲のわかない状態が数ヶ月前から続いているが、仕事や家庭のイベントを休むほどではない。「定年退職して再就職したのに以前の調子が出なくなった」「些細な出来事が心のトゲになりいつまでも気にしてしまう」・・・といったものが挙げられる。この程度の症状だと、患者は精神科や心療内科を受診するほどではないと自己判断してしまいやすい。

 軽症うつ病の詳細なメカニズムは明らかになっていないが、経過は3〜6ヶ月以上と長く、不安と抑うつ気分、抑制(おっくう)という精神症状が混在する。うつ病の原因分類としては内因性であり、前駆する明らかなストレス因子などはないことから、患者説明には「心理的疲労」という用語が利用される。抑うつ症状は軽度であり、外来で十分治療可能なことから、「外来うつ病」とも呼ばれる。

 軽症うつ病患者に多く見られる性格は、「まじめ」「几帳面」「責任感が強く頑張り屋」である。それまで比較的良い社会適応をしてきた人が多いが、執着傾向のある人が罹患しやすい傾向が認められる。

 なお、最近の若年層に多く見られるジスチミア(気分変調性)親和型うつ病とは性格傾向が大きく異なっており、現時点では別の状態と位置づけるべきであろう。


うつ病とは異なる、軽症うつ病の「主訴」(図1)

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図1 軽症うつ病の主な症状









 うつ病の症状は、主に
1. 抑うつ気分(気分が滅入る、楽しめない)
2. 意欲の低下(無気力、おっくう)
3. 考えが浮かばない(決断できない、優柔不断)
4. 身体症状(主に自律神経症状)

 軽症うつ病がどのような主訴で受診しているのか調べると「不眠」が最も多く、続いて「易疲労感」「頭重・頭痛」「腹痛」「肩こり」「腰痛」といった身体症状であった。

 軽症うつ病の抑うつ症状は軽度であるが、一方で臨床症状が身体化しやすい傾向がみられる。「頭痛」「めまい」「不眠症」「自律機能低下症」「更年期障害」「低血圧症」「心臓神経症」「胃腸神経症」「胃下垂」「慢性胃炎」「胃アトニー」「過敏性腸症候群」「過換気症候群」「糖尿病」「認知症」などの病名を持っている場合や、そのような症状を訴え、長期間治療を受けているにもかかわらず改善しない患者は、その裏に「軽症うつ病」が隠れている可能性がある。


うつ病をめぐる氷山現象
 軽症うつ病の診断手順は「2週間以上続く、軽い抑うつ気分と興味・喜びの喪失があり、睡眠障害、食欲不振、体重減少、頭痛や筋肉痛、易疲労感、性欲減退、便秘、動悸、肩こり、めまい等の自律神経症状を呈しており、理学的所見や諸検査において症状に見合うだけの器質的疾患が認められないケースで、さらに日内気分変動が存在する病気」となっている。したがって、患者の足は一般診療科に向かいがちである。

 うつ病の「氷山現象」とは、うつ病患者が精神科や心療内科の専門医を受診する割合が極めて少なく、その大部分はプライマリ・ケア医を訪れているということを表現した言葉であるが、軽症うつ病では特にこの問題を軽視できない。

 それでなくても、精神領域を専門としない医師にとって、うつ病診断は診断や重症度の判断が難しい。抗うつ剤の使用方法がわからない、時間がかかる、自殺や希死念慮がからみ扱いにくい、などの理由で気の重い患者である。共存する身体疾患がある場合、特にうつ病を見逃しやすいという問題もある。

 そのため、適切な診断がされていない、診断がされていても適切かつ充分な治療が行われていない軽症うつ病患者は相当数にのぼると予想される。


軽症でも適切かつ十分な治療が必要
 正しく診断されていても適切かつ十分な治療が行われていないことに関しては、近年興味深いデータが報告されている。(図2)

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図2 抗うつ剤またはプラセボによる治療後のHAM-D変化量と回帰直線


 解析結果から、軽症で外来治療が可能といっても漫然と薬物投与を行うだけでは改善が得られないという軽症うつ病の現実が凝縮されている。軽症といっても、うつ病治療の基本である精神的休養と心理的サポート、適切かつ十分な治療が必要であることの証左といえる。

 うつ病の80〜90%を占めると言われている「軽症うつ病」患者に対して、正しい診断と適切な治療が行われることを期待したい。


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Cymbalta Journal
2013年6月作成
監修:東京大学 名誉教授 久保木 富房 先生

― posted by 大岩稔幸 at 11:02 pm

PM 2.5

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 〈東風(こち)吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ〉 
心ならずも京から西方の太宰府に左遷された菅原道真は、移送の時、無念と惜別の情を自邸の梅花に託した。
そして今。
西風吹かば…が日本の憂いを募らせる。

西風に乗って中国大陸から飛来する微小粒子状の「PM2・5」。
車の排ガスや工場のばい煙などに含まれる有害物質で、吸い込むと肺の奥まで入り込む恐れがある。
肺がん、ぜんそくなどの発症リスクを考えると、まさに招かれざる客だ。

この客、追い払うことはできない。健康への影響を避けるには住民の対応も大事、として環境省が指針をまとめた。
大気中のPM2・5の濃度が一定レベルを超えると予測される日は、都道府県が住民に外出自粛、屋内の換気抑制などを呼び掛けるという。

日本の高度成長期には光化学スモッグが社会問題になった。
児童生徒が校庭でバタバタと倒れる。登校する顔にはマスク。
そんな公害の時代に連れ戻されそうな感覚にもなる。

3月5日は啓蟄。いつもなら桜の開花予想に心躍る季節なのに、ことしは黄砂、それに付着するPM2・5の飛来を気にしなくてはならない。
〈西風に気を緩めなよ桜花匂いなしとて粒を忘るな〉 
こんな戯れ歌が浮かんでくるようでは、花見気分はどうなることか。

「草萌(も)えや野も萌え桃の八重も咲く」。
弥生3月はやはりこの回文のように春風駘蕩(たいとう)でないと…。

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小社会
2013年03月01日08時18分

― posted by 大岩稔幸 at 08:58 pm

野合と付和雷同

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紅葉と四季桜


 孔子はその父親と正夫人との間の子どもではなかった。司馬遷(しばせん)は史記に「野合して孔子を生んだ」と書いている。辞書によれば野合とは、男女が正式な婚姻によらず結ばれること。

それは聖人の伝記にふさわしくない。そう考えた後世の儒者たちは、女性が天に祈って身ごもったとする説などを主張してきたという。いずれも中国史学者の故貝塚茂樹さんの「孔子」(岩波新書)に教わった。

まるで聖母マリアの処女懐胎を思わせる伝説である。そこまでしなくても孔子の偉業は揺るぎはしないのにと思うのだが。要はそれだけ孔子への敬愛の念が深かったということだろう。

野合の印象を拭い去ろうと懸命なのはこちらも同じ。師走の衆院選に向けて、既成政党に対抗する第三極を結集しようと日本維新の会に太陽の党が合流した。だが、脱原発や消費税など基本政策の違いを棚上げしての大同団結ではないか。そんな疑問はなお残る。

日本維新の新代表、石原前東京都知事は「増税容認」の主張と相いれない減税日本との合流方針もいったん発表した。一転ほごにしたのは「減税日本というネーミングが粗雑」だから。名前を変えれば済む問題ではあるまいに。

〈君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず〉。孔子の言葉通り理想の人間は見識を持ち、利害によって離合集散したりしない。君子か小人か。見極める眼力が求められるのも孔子の時代と変わらない。

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乾山写しの雲錦文様( 春と秋、両方の季節に使える抹茶茶碗)






















高知新聞
小社会 2012年11月19日より転載

― posted by 大岩稔幸 at 01:11 am

原子力発電は必要か

私の尊敬する数少ない大学人として、石橋克彦先生がおられます。

石橋先生は、地球物理学特に地震学の専門家であって、原子力の専門家ではない。
今回の問題に関して短い文章をネットで公開されています。
短いですが、内容は最高に濃いものです。

石橋克彦
私の考え −2011年東北地方太平洋沖地震による「原発震災」について−

http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html Link

この中から引用リンクしてされている
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/9710kagaku.pdf Link
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/0808toshi.pdf Link http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/050223koujyutsu.pdf Link http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/0307IUGG_Genpatsu_Abstract_JPN.pdf Link

などを、まずお読みいただきたい。

これまで石橋先生は、雑誌などで日本での原発の危険性を地震学の立場から訴えてこられています。
地震学者としてだけでなく、原発問題で第一級の学者です。

従って、石橋先生は原発マフィアの手先たちの御用学者たちから目敵にされてきました。
そして、今のテーマの小佐古敏荘教授が雑誌「世界」の中でなど、多くの場面で、「原子力の専門家でもないくせに原発問題に口を出すな」という論調で、石橋先生を批判してきたことは有名です。

この辺は、雑誌だけでなく、捜せばネットで見つかるかも知れません。
原爆症認定訴訟の大阪地裁の国側の証人としての、小佐古敏荘氏に関しては、例えば 以下のサイトにあります。

http://www.tokuoka-miyatake.com/still_crazy/03.html Link http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/e0d9eb7ce6762dca04e5c3cb7fb4f848 Link

― posted by 大岩稔幸 at 12:40 pm

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