患者さま

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ここ数年「患者さま」と呼んでいる医療機関が増えている。最近の学会発表を聞いていると若い先生は、対象者の提示に「患者さま」と言うことが多い。医療はサービス業であるという考え方が普及していること、マスコミ報道のあり方が医療者側に過剰な防衛姿勢をとらせていることが背景にあると思う。

しかし、我々が行った患者満足度調査の結果によれば、多くの患者さんたちは「患者さま」と呼ばれたいとは感じていない。ともすれば「巧言令色鮮仁(こうげんれいしょくすくなしじん) ※」1)になりかねない過剰な接客業用語は、むしろ患者さんを遠ざけたりすることになりかねない。

私が敬愛する作家でもある徳永先生は、ある雑誌の対談の中で「患者さまという呼び方は、患者の本当の悩みと向かい合う気持ちがなくなったことをごまかす形骸化したものではないか」2)と述べていた。先の患者満足度調査結果の中で、患者さんたちは「’患者さま’と呼ぶ前に患者に対する応対や態度を変えないといけない」と回答していた。

我々の分析によれば、患者さんたちが本当に求めているのは「よく訴えを聴いてくれた」「わかりやす説明」を通じて、共感(患者さんの気持への反応、ねぎらい、がんばったことへの称賛など)の信頼関係=ラポールであった。

まずは、「患者さま」と呼ぶことをやめることが、患者満足度への道であると考えている。近い将来、過剰な敬語や「患者さま」と呼んでいる医療機関ほど患者視点よりも利益を優先していることや、患者満足度が低いことを数量的に明らかにしたいと思う。


※巧言令色鮮仁・・・巧みな言い方や言葉や華やかな言葉には仁(心・思いやり)が少ないという意味。孔子の言葉。

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参考:
1)R AD-AR NEWS,No76.2006年10月 P12-13
2)論座,No23. 2004年10月 P8-21

http://blog.carenet.com/cs/entry/2006/11/001657.php?SID=5085489579226983 Link

― posted by 大岩稔幸 at 11:56 pm

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