〈月落ち烏(からす)啼(な)いて霜天に満つ〉で始まる唐代の詩人張継の「楓橋(ふうきょう)夜泊」。この広く知られている漢詩をめぐって、かつて「カラスは夜半に鳴くのかどうか」が論争になったことがある。
鳥類研究者によると、カラスは夜でも鳴くそうだ。特に夜半、単独で遅れてねぐらに戻ってきたカラスは、必ず鳴き声を発するという(「カラスの早起き、スズメの寝坊」)。「おーい帰ったぞ」か「遅くなってごめん」かは分からないが、帰還を知らせているのだろう。
とすると、ねぐらにいるカラスは鳴き声で相手が分かることになる。それを裏付けるような研究結果を慶応大のグループがまとめた。実験で、声と姿を結びつけて仲間を認識していることが明らかになったという。
いたずら好きで、計算力があり、高い学習能力で人間との知恵比べにやすやすと勝ってしまう。そんな賢いカラスのことだ。優れた視覚と聴覚を生かし、「他者」という概念をつくり出すことぐらいは朝飯前のようにも思える。
規律や統制がなく、ただ集まっている様子を表す「烏合(うごう)の衆」という言葉が登場するのは5世紀の中国の歴史書。ちゃんと識別して仲間が集まっているカラスにしてみれば、長い間つきまとった「ぬれぎぬ」ではある。
カラスは不本意でも、「烏合の衆」は死語になりそうにない。「勝手でしょ」とばかりに、統制が全くとれていない政党の姿を見せつけられる毎日。
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&v=zDl_0gOUejU
http://www.youtube.com/watch?v=kos7x2oNygA&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=6YzkDRvYAzE&feature=relmfu
高知新聞小社会
2012年04月08日07時56分
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